The Congregationジョニー・グリフィンのブルー・ノートのリーダー・アルバム2枚を聞いた後で、この『The Congregation』を聞くとがっかりだ。前2作にあったテンションの高いアップテンポなプレイがここにはない。1曲目からの4曲がメディアムテンポでしみじみと吹いてる感じ。最後の〈It's You Or No One〉がアップテンポだが、どれもこれといって特長のない演奏が続く。これまでのスタンスを変える特別な理由がこのアルバムにこめられているのかも知れないが、どーにもよく分からない。

グリフィン自身の曲は〈The Congregation〉と〈Main Spring〉の2曲。ジョン・ジェンキンスの曲〈Latin Quarter〉も演ってるが、どれも同じに聞こえる。スタンダードの〈I'm Glad There Is You〉なんかムードミュージックかと思った。気になるんで、名曲解説書をあたったら、スイング・バンドのジミー・ドーシーのナンバーだ。このグリフィンの演奏もモダン・ジャズというよりも限りなくスイング・ジャズに近いと思う。ぼくはグリフィンのハードバップを聞きたいんで、こういうのは聞きたくない。

ブルーノート第1作の『Introducing Johnny Griffin』と同じワンホーン・カルテットだが、リズム・セクションの音が全く違う。ここでのピアノ、ソニー・クラークも聞き所がなかった。

Johnny Griffin / The Congregation
BLUE NOTE 1580

Johnny Griffin, tenor sax
Sonny Clark, piano
Paul Chambers, bass
Kenny Dennis, drums
1957.10.23
Night At The Village Vanguardテナーとベース、ドラムスのトリオによるライブ演奏。ベースとドラムスは昼と夜で違う。ウィルバー・ウェアとエルヴィン・ジョーンズの参加している夜のライブがいい。ソニ・ロリンズとエルヴィン・ジョーンズの息苦しくなるようなテンションの高いモダン・ジャズを聞くことができる。

最初の〈Old Devil Moon〉はちょっと様子見のようなプレイで迫力はない。次の〈Softly As In A Morning Sunrise〉でプレイが加速し始める。このアルバムではロリンズのオリジナルが2曲プレイされている。3曲目と4曲めの〈Striver's Row〉と〈Sonnymoon On For Two〉だが、この2曲がすごい。息苦しくなるのはこの2曲だ。珍しいピアノレス・トリオだが、ここではエルヴィン・ジョーンズの叩き付けるようなドラミングとロリンズのサウンドがぴったりと合っている。

5曲目は昼の演奏の〈A Night In Tunisia〉だが、エルヴィンのドラムを聞いた後でのこの演奏は物足りなく聞こえる。最後は再び夜の演奏、バラードで〈I Can't Get Started〉。このアルバムはロリンズのオリジナル〈Striver's Row〉と〈Sonnymoon On For Two〉の2曲につきる。『Saxophone Colossus』や『Sonny Rollins Vol.1』、『Newk's Time』の中で1曲から2曲だが、際立ってテンションの高いプレイがあった。しかし、ここではピアノレスのせいか、これまでのプレイとかなり違う。ソニー・ロリンズの中では一番記憶に残るアルバムだ。

Sonny Rollins / A Night At The Village Vanguard
BLUE NOTE 1581

Sonny Rollins, tenor sax
Wilbur Ware, bass
Elvin Jones, drums
1957.11.3

Sonny Rollins, tenor sax
Donald Bailey, bass
Pete La Roca, drums
1957.11.3
The Cookerブルーノートにおけるリー・モーガンの5作目のリーダー・アルバム。これまでの4作とはちょっと違う。アルバムに大きく関与していたベニー・ゴルソンがここにいない。そして、リー・モーガン自身のオリジナル・ナンバー2曲が初めて登場する。これまでのアルバムは、アンサンブル重視で、まるでベテランのような控えめな演奏だと思う。若さが感じられないモダン・ジャズだったが、この『The Cooker』は違う。

これまでのリーダー・アルバムにはみられないアグレッシブなプレイだ。そう、今までだってサイドマンとしてはアグレッシブなプレイはたくさんあった。こんなリー・モーガンの方がぼくは好きだ。しかし、ベニー・ゴルソンがアレンジしたアルバムのように、一貫したコンセプトはない。でも、ここには若いリー・モーガンがいる。

スタンダードが〈A Night In Tunisia〉、〈Just One Of Those Thing〉、〈Lover Man〉の3曲に自作が〈Heavy Dipper〉と〈New-Ma〉の2曲。1曲目の〈A Night In Tunisia〉はモーガンとペッパー・アダムス、共に迫力はあるけど粗野な演奏。力みすぎかも。2曲目の〈Heavy Dipper〉の二人のソロはまだろっこしい。

3曲目のスタンダード・ナンバー〈Just One Of Those Thing〉とオリジナルの〈New-Ma〉がこのアルバムでムチャいい。前者はオリエンタル風なメロディー、この部分はあまり好きでないが、アダムス、モーガン、ボビー・ティモンズと続くソロがすごい。アップテンポなスピードに乗って繊細なプレイを展開する。モーガンのなめらかに滑るような演奏にぞくぞくする。

後者はミディアム・テンポのブルーな曲。ピアノソロから始まり、ベース、バリトン、撮らんペットへ引き継がれる。この演奏にはまいった。完全にはまってしまった。

ぼくは5月の始めから意識的にブルーノート盤を集中して聞き始めた。当時は、モダンジャズとかビバップ、あるいはハードバップを説明しろっていわれても分からない、と白状している。これが1957年当時、黒人の心をつかんだハードバップの感触じゃないかと勝手に喜ぶ。1957年から遠く離れて、この日本でそれを感じることは簡単なことじゃない。ぼくは1957年のサウンドを単に楽しもうとしているのでなく、その時代の感性を捜している。〈Just One Of Those Thing〉と〈New-Ma〉を聞いていると、捜しているものが見つかったような感激を得る。

The Cooker / Lee Morgan
Blue Note 1578

Lee Morgan, trumpet
Pepper Adams, baritone sax
Bobby Timmons, piano
Paul Chambers, bass
"Philly" Joe Jones, drums
1957.9.29
Newk's Timeブルーノート盤というと基本は1500番台と4000番台だ。ここにモダン・ジャズのエッセンスが詰まっていると思う。その4000番台の最初のアルバムがこのソニー・ロリンズの『Newk's Time』。ナンバリングは4001だが、録音は1500番台の後半にあたる。この『Newk's Time』よりインパクトが強く有名な『A Night At The Village Vanguard』(1581)の方が後のレコーディングだが、このことをぼくは長いこと気がつかないでいた。

『Newk's Time』でいいのは、1曲目マイルス・デイビスの曲〈Tune Up〉。これは『Saxophone Colossus』の〈Blue 7〉と〈Strode Rode〉、『Sonny Rollins Vol.1』の〈Decision〉と同様にすごい演奏だと思う。2曲目ケニー・ドーハムの曲〈Asiatic Raes〉もいいが、後の曲は余り聞くことがない。

Newk's Time / Sonny Rollins
BLUE NOTE 4001

Sonny Rollins, tenor sax
Wynton Kelly, piano
Doug Watkins, bass
Philly Joe Jones, drums
1957.9.22
Blue Trainブルーノートにおけるジョン・コルトレーン唯一のリーダー・アルバム。1曲目の〈Blue Train〉のコルトレーンのソロの始まりは、まるで、時間が停止する感覚に陥る。モダン・ジャズの渦に飲み込まれる幸福な一瞬だ。コルトレーンはコルトレーンだ。コルトレーンは模索し続ける。感性を超越して、情熱がたぎる。そんなコルトレーンのソロを引き継いで、リー・モーガンが、カーティス・フラーが、いつにも増して緊張感にあふれるプレイだ。ブルーノートには珍しく、ピアノのケニー・ドリューが確かな存在感を刻む。

1曲目の〈Blue Train〉がダントツだが、続く〈Moment's Notice〉、〈Locomotion〉もいい。コルトレーンのオリジナル・ナンバーだし、自身が最初のソロをプレイする。続くリー・モーガンとカーティス・フラーがトレーンのテンションをそのままに持続する。3管によるハードバップの理想的なサウンドなんじゃないかと思っている。

5曲目の〈Lazy Bird〉もコルトレーン自身のナンバーだけど、最初の3曲に比べてテンションが落ちる。4曲目のバラードは最初の3曲を聞いた後では、あまり聞く気持ちになれない。
しかし、このアルバムって完成されすぎではないだろうか。これが不満と言えば不満だ。モダン・ジャズは絶えず前のめりに前進しているものだと思っているので、未完成の方がインパクトがあるとぼく感じている。

Blue Train / John Coltrane
Blue Note 1577

Lee Morgan, trumpet
Curtis Fuller, trombone
John Coltrane, tenor sax
Kenny Drew, piano
Paul Chambers, bass
Philly Joe Jones, drums
1957.9.15
Sonny Clark Trioソニー・クラークのピアノ・トリオのアルバム。1970年代はフリージャズを聞きながら、こんなピアノ・トリオのアルバムをよく聞いていた。バド・パウエルやレッド・ガーランド、それにビル・エヴァンスなんかのトリオ・アルバムだ。モダン・ジャズのピアノ・トリオの演奏を当時は都会的でオシャレな感じで聞いていた。いまはそんな風には思っていない。

このアルバムはその当時、とりわけ好きで、よく聞いた。それで飽きて、中古ショップに処分するが、数年後にまた買うなんてことをしていた。ソニー・クラーク独特の陰鬱なタッチが好きだったんだ。〈I Didn't Know What Time It Was〉、〈Tadd's Delight〉、〈Softly As In A Morning Sunrise〉などのプレイだ。特に Morning Sunrise を良く聞いていた。今はこの曲のエモーショナルがたっぷりなところに、気持ちが引いてしまう。

ディージー・ガレスピーのが2曲入っている。1曲目の〈Be-Bop〉と3曲目の〈Two Bass Hit〉だ。これらのハードにスイングするプレイが今は好きだ。〈Be-Bop〉の方がはるかにいい。これを聞いていると40年代末のバド・パウエルのデモーニッシュなプレイにクラークは近づことしているんじゃないかと思ってしまう。でもそれはできない。

Sonny Clark Trio
BLUE NOTE 1579

Sonny Clark, piano
Paul Chambers, bass
"Philly" Joe Jones, drums
1957.9.13

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