ホーム > ホームページ制作ノート > Web制作関連書籍 > デザインの現場BOOK タイポグラフィ

タイポグラフィ (デザインの現場BOOK)デザインの現場BOOK タイポグラフィ
「デザインの現場」編集部 編集(美術出版社、2008年2月)

タイポグラフィについての優れた実用書。
タイポグラフィの学び方、選び方、そして実用記事からなっている。
「タイポグラフィの学び方」は葛西薫氏、副田高行氏、木村裕治氏のタイポグラフィに焦点をしぼったデザインの紹介と各氏がどのようにタイポグラフィを学んだかが紹介されている。

「タイポグラフィの選び方」は有山達也氏、岡本一宣氏、永原康史氏、菊池信義氏の実際の仕事を通して、いかにそのフォントが選択されたかが紹介されている。

学び方と選び方に登場するほとんどのデザイナー各氏が写植時代、あるいはそれ以前のレタリング時代を経過して現在にいたっている。その意味で、普段はあまり取り上げれることのない「写植」だが、ここではその歴史的な位置づけが各デザイナー氏の証言で浮かび上がっていることが興味深い。ぼく自身、写植オペレーターとしての長い経歴を過去にもつので、それらの証言に強く引き込まれた。

「タイポグラフィの選び方」にはもう一つ「追想 田中一光」があり、田中一光デザイン室に在籍した木下勝弘氏が事務所での具体的な様子を証言している。モリサワからリリースされているフォント「光朝」の成り立ちなど興味のある証言がある。

実用記事では、欧文書体に関する情報が多いが、薄い本なので実践に役立つ知識を簡潔に紹介している。代表的なフォントの成り立ちや欧文組版などの最低限の知識が得られる。本文に向く代表的和文書体も印字見本とともに説明があるが、明朝体とゴシック体の基本的な19書体だが、これは絶対にはずせないフォントばかりだ。

「目で学ぶ欧文書体見本帳博物館」というページはヨーロッパの歴史的に有名な活字製作所の当時のポスターや見本帳の写真と解説で、フォントに対しての歴史的認識度がいやでも芽生える。

全体にフォントの印字見本や資料の写真が多用されて、図鑑のような本になっている。どのページを開いても興味が惹かれる。フォント・フェティッシュにはたまらない本だ。最後に付録としてライノタイプ社の新書体見本がある。どれも美しくて欲しくなる。

(2008年5月1日 記)